ニッコリ笑った奏太くんは、突然走り出しました。


「あ、待ってよっ」


椛ちゃんも奏太くんに置いて行かれないように、慌てて追いかけ始めました。


ふたりは暑がりで元気いっぱいの小学一年生。

だけど、そろそろもっと寒くなってきます。

お母さんたちは家で上着を用意していることでしょう。


手のひらの中には小さな秋と不思議な思い出。


そのままふたりは僕の季節。

冬に向かって走って行きました。


               fin.