本当は、わかっていました。 たくさんの秋を見つけても、それだけじゃあきちゃんは来てくれないということを。 本の中で見つかったのは、そこがあきちゃんの住むところだったから。 こんなところにあきちゃんはいないはず。 暗くなってきた裏山にはふたりの泣き声が響いています。 「あきちゃぁあん」 椛ちゃんがあきちゃんの名前を呼ぶと、近くの木がさわさわと揺れました。 「あき、ちゃ」 しゃくりあげながら奏太くんが言いました。 また、さわさわと揺れます。