そんなの嘘だ。そんなわけない。
これは、恭ちゃんが私をからかう主旨のゲームを勝手にしていて、楽しんで言ってるだけだ。
信じたら負けだ。負けるもんか!
そう、思うのに。
至近距離と、ドキドキする胸のせいで、まるで恭ちゃんの言ってる事が本当みたいに思えてきてしまう。
そういえば、この間もそうだった。
押し倒されて組み敷かれたせいで、ちゃんと考えられなくなったんだ。
身体もだけど、思考さえもが恭ちゃんの支配下に下ったみたいになってしまって。
「そんなの……信じられないよ。
だって、恭ちゃん変わっちゃったし、私の知ってる恭ちゃんじゃないみたいなんだもん……」
今まで私が何を言ってもすぐに返してきた恭ちゃんが黙った。
少し待っても何も言わないから、気になって見上げると、わずかに顔を歪めた恭ちゃんが私を見ていた。
「恭ちゃん……?」
その顔は傷ついてるようにも見えて、気付いた時には恭ちゃんを呼んでいた。
その声にハっとしたみたいな顔をした恭ちゃんが、笑顔を作る。
昔の恭ちゃんみたいに、穏やかな微笑みを。



