「実紅がどんな反応するか楽しんでるのは否定しないけど、適当に言ってるわけじゃねーし」
「嘘ばっか。会ってすぐにホテル連れ込むし……すぐキスするし。
そんな人の言葉なんか信じられるわけないじゃない。
っていうか、どいてよ。校内でこんな体勢、誰かに見られたら変な噂になる」
近すぎる距離が恥ずかしくて言うのに、恭ちゃんは私の言葉に不服そうに顔をしかめる。
「おまえ、俺の事どう見てるんだよ。誰彼構わずサカってるわけじゃねーし。
おまえだからだろ」
顔をしかめながら言った恭ちゃんは、決してふざけているようには見えなくて。
そのせいで、なんとか抑えこんでいた胸が恭ちゃんにも聞こえるくらいの大きさでドキっと跳ねてしまった。
恭ちゃんの言葉に思わず声を失っていたけど、自分の胸の鼓動にハっとして恭ちゃんから目を逸らす。
心臓が耳の中にあるんじゃないかってくらいにうるさいドキドキのせいで、うまく声が出せない。
「だ、だから! そういう事平気で言えちゃうの、おかしいし! それに、先週再会したばかりなのにそんな急に私だからとか言われたって……っ」
「言っただろ。俺は誰かさんとは違って、離れてた六年間も忘れた事はなかったって。
それでこんな風に再会したら、手も口も出るだろ、普通」



