「年寄りの気まぐれだろ」
「……なんか、誤魔化してない?」
「つーか、俺にだって分かるわけないだろ。知りたいなら本人に聞け」
「本人に聞いたら、仮病でしたって自分からバラすようなもんでしょ。しかも恭ちゃんが悪いのに、結果的に共犯みたいになっててイヤ」
そう言いながら、腕を組んで……しばらく床を見つめた後、恭ちゃんを見て顔をしかめた。
「私、ここにいてもする事ないんだけど」
かと言って、体調不良で保健室に来てる以上、すぐ事務室に戻るわけにもいかない。
「だから寝てろって。どっちみち本当に寝不足だろ、目の下クマできてるし。夜遊びでもしてたのか?」
「これは……ただ、夜更かししちゃっただけ」
恭ちゃんの事を考えて寝不足だなんて口が裂けても言えないから、適当に誤魔化す。
嘘がバレないか気になってチラって見ると、恭ちゃんは軽く笑って私を見ていた。
「おまえ、色白いからクマなんかあるとすげー不健康に見える」
「うるさいなぁ」
「いいから寝とけ」
「だからやだってば。恭ちゃんいるのに寝るなんてできない」
「もしかして期待してんのか?」
「期待じゃなくて警戒してるのっ!」
ニって笑いながらからかうみたいに言う恭ちゃんに、口を尖らせる。



