「仕事上では、やる事も別だしあまり関係する事もなかったけど……。
事務長、やたらと保健室にきてたから、よく話すようになっただけ。
多分、俺以上にサボってたけど、それを誰かが指摘だとか注意したりはしなかった。いるだけで和むっつーか、癒されるっつーか。
なんか、マスコット的な感じだった」
「あ、今もそんな感じだよ。
事務室でも窓から外眺めてばっかりだったり、授業中も校内を散歩したりしてるけど、事務長だと許されるんだよね。
仕事をきちんとしてるからっていうのもあるんだろうけど、人徳だと思う」
「好きなんだな、事務長の事が」
恭ちゃんにふって微笑まれて、ハっとする。
罪悪感で眠れないとかいいながら、何普通にのほほんと会話しちゃってるんだろう。
「好きだよ。普段からよくしてもらってるし。私の事も信頼してくれてるからすごく嬉しいの。
だから、嘘つくとかイヤだし……ねぇ、事務長、嘘に気づいてるって言ったよね?
なんで気づいてるのに、あんな快く私に保健室に行くように言ったの?」
「さぁな」って言いながら、恭ちゃんがデスクの下から椅子を引き出して座る。



