甘い愛で縛りつけて



『俺が本気かどうかが、なんで実紅に分かるんだよ』
『分かるよ。ずっと……好きだったんだから』
『昔の俺が、だろ』

恭ちゃんの言うとおり、私が好きだったのは昔の恭ちゃんだ。
だけど、素直に頷く事ができなかった。

頷いたら、それが恭ちゃんを傷つける気がしたから。

それがなんでかって聞かれれば自分でもよく分からないし、本能とか直感としか言いようがないけど。
それに、恭ちゃんが私なんかの言葉で傷つくかもよく分からないし。

本当に、さっき恭ちゃんが言ってた通り、おかしいのかも。
押し倒されときながら、恭ちゃんの心配ばっかりしたりして。

しかも、恭ちゃん変わっちゃってるのに。

いつ変わっちゃったんだろ。
いつ……。
どうして……。
その前に、昔の恭ちゃんと今の恭ちゃん、どっちが本当なんだろう……。
変わったの? それともどっちかが演技とか……。

恭ちゃんがいつ変わっちゃったのかとか色々考えているうちに、過去の思い出がたくさん頭の中に浮かんで、それがグルグル回り出す。
そんな事をしていたら、いつの間にか本当に目が回って気持ち悪く……。