甘い愛で縛りつけて



「むっ、無理やり襲いかかるとか、犯罪だからね!
私、こういう事慣れてないし、本当に手出したりしたらすっごい面倒な女なんだから!」

きつく睨みながら言ってるのに、恭ちゃんは尚も楽しそうに笑みを浮かべる。

「面倒ってどんな風に?」
「だから……っ、責任とって欲しいとか言い出すかもしれないし、お金とか要求するかもしれないし!」
「責任も金も、実紅が要求するなら応えるけど」
「警察にも通報しちゃうし、そうしたら仕事だってクビになるんだからね!
それに、許さないから! 一生恨み続けるし! 事あるごとに恭ちゃんが不幸になればいいって願ってやるから!」
「いいかもな、それ」
「いいって……」

恭ちゃんの不幸なんかを懇願する神頼みはいいとしても、通報なんていいわけがない。
それに、学校側にこんな事がバレたら絶対にマズイ。

それは、きっと恭ちゃんだって分かってる。
私が覚えている限り、恭ちゃんは頭のキレる人だったから。
頭のよさは、外見がいくら変わったって変わらないだろうし。

それなのに、なんでいいなんて言うの?
冗談だとしても、犬に噛み付かれた仕返しだとしても、度を超えてる。こんなの、恭ちゃん自身も危ないじゃない。