恭ちゃんの胸を押す手にぐっと力を込める。
酔って寝ちゃった私にも非はあるけど、だからってこのまま受け入れるなんて無理!
お酒の勢いを借りても無理だ。
「別に乱れた付き合いなんかしてきたつもりないけど」
「でも、ひとりに絞らず遊んでたんでしょ?」
「誰も大切に思ったりしなかったから絞らなかっただけの話だろ。
それなのに好きだとか嘘ついて誰かと付き合う方がよっぽど不誠実に思うけど」
「それは……そうかもしれないけど」
「俺が強引に襲い掛かったわけじゃねーし、お互い合意だったしなんの問題もない」
「……でも今は襲いかかってるよね? 問題だよね?」
疑問に思った事を素直に聞くと、恭ちゃんは私を見下ろしたまま「そうだな」と笑う。
私にとっては笑いごとじゃないんだけど、恭ちゃんの顔は楽しそうだった。
人の事押し倒して襲っておいて楽しいって、どういう事なんだろう。
さっき、ランドセルに興味がないとか言ってたけど、こんな状況楽しんでるなんて十分アブノーマルだ。
襲って楽しいなんて、SだとかMの特殊趣向じゃない!
そんな事を考えていたら背中にぞわりとした嫌な感覚が走り抜ける。
やばい。そんな特殊趣向な人と普通に会話してる場合じゃなかった。このままじゃ変な事されちゃうっ。



