「どっちもだよ! 怖かったよ! 当たり前でしょ! 襲われて子ども作るとか言われたんだよ……っ!
強姦だもん、怖いに決まってるじゃないっ!」
「……ごめん」
「でも……それ以上に恭ちゃんが大切だから。
恭ちゃんが安心できるならって……必死だった」

子どもの事は、本当にそれでいいのかって聞かれたらきっとすぐには頷けない。
色々考えたらきっと不安や悩みもでてくる。

だけど、それでも恭ちゃんに言った言葉に嘘はなかった。
世間体だとかモラルだとか、そういうもの全部を通り越した私の本音だった。

「恭ちゃんを失いたくないって、それだけだった……。
私は恭ちゃんが好きだから……大好きだから、一緒にいたいよ……っ。
一緒にいようよ、恭ちゃん……」

「恭ちゃんが、好きなの……」

止まらない涙に、途切れ途切れになる言葉。
それでも必死に想いを繋ぐと、恭ちゃんはつらそうに顔を歪めて……私を抱き締めた。

痛いほどに強く、強く……。


「ごめん……ごめん、実紅――」

耳元で聞こえた、恭ちゃんの絞り出されたような、掠れた声。
はだけた肩に落ちてきた水滴に、また涙が溢れた。