本当にその通りだと反省する。
再会したその日に、寝入っちゃった私をここまで運ばせちゃうなんて。
迷惑極まりない。

「あの、ありがとう」

そう思ってお礼を言うと、恭ちゃんはふって笑う。
それから煙草を灰皿に押し付けて、立ち上がった。

一歩一歩近づいてくる恭ちゃんに、少しの緊張が走っていた。

だって、ここがどんなホテルかは分からないけど、ホテルはホテルだし。
ふたりきりで、私はベッドの上で、しかも恭ちゃんは恭ちゃんとは思えないほど、その……カッコよく変わっちゃってるし。

初恋の相手と思わぬところで再会をしただけでもドキドキするシチュエーションなのに、それに加えて相手がカッコいいってなると鼓動のテンポだって加速するに決まってる。

「別にたいした事じゃねーし」
「でも、ごめんね。……ありがとう」

照れくさくなりながらもう一度言うと、不意に恭ちゃんの手が私の顎にかかった。

くいって持ち上げられて驚いたけど……。
それよりももっと驚いたのは、恭ちゃんの顔がすぐ近くにあった事だった。

いつの間にかベッドに腰掛けていた恭ちゃんと私の距離は、30センチくらいしかない。