恭ちゃんは私の服に顔を埋めているから、私の位置からは表情が見えない。
だけど、不貞腐れているような声からどんな顔をしているのかが予想できて、その顔が可愛くて胸がきゅんと鳴く。
今まで母性本能とか感じた事がなかったのに、恭ちゃんに対してはそういう感情が呼びさまされてしまって、余計に愛しさが増してしまうから困る。
恭ちゃんは大人なのに、なんでこんなにも守ってあげたい衝動に駆られるんだろう。
不貞腐れたままの恭ちゃんの頭に手を伸ばしてきゅっと抱き締める。
それから頭を撫でようとしたけど、それより前に恭ちゃんの手が内腿を撫でるから身体がびくっと揺れてしまった。
「内腿ってこの辺?」
膝の辺りからなぞり上がってくる恭ちゃんの手に、くすぐったいような少し違うような、変な感覚が生まれる。
私よりも少し冷たい恭ちゃんの手に、身体が勝手に反応してしまう。
「もう、いいでしょ……?」
スカートの中に入り込んだ恭ちゃんの手が恥ずかしくて困って言うと、恭ちゃんが私を見上げて……そしてふっと微笑んだ。
いつもと変わらない恭ちゃんが悔しい。
私なんかピンクのライトのせいもあるのか、恭ちゃんに触られるだけで否応なしに変な気分にさせられちゃってるっていうのに。
それが面白くなくて、離してと言ったけど。
「実紅、こっち向け」
恭ちゃんは私の命令を無視して、そんな命令を返してくる。



