甘い愛で縛りつけて



強く掴まれていた左腕に右手で触れながら部屋を見渡した。

ピンク色のライトが彩る部屋の中央には柔らかそうな丸い形のベッドがあって。
ラブホはベッドが部屋の真ん中にあるのがセオリーなのだろうかとぼんやり思う。

ライトの色とベッドの位置以外はいたって普通に見える部屋。

恭ちゃんは丸いベッドに腰を下ろしてから、「実紅、こっちこい」と私を呼んだ。

恭ちゃんの言う事に素直に従ってゆっくりベッドに近づいたけれど、これからしようとしている話を考えるとひどく足が重かった。

桜田先生にバレた事を知ったら、恭ちゃんはどうするだろう。
それなら面倒くさいって、私の事なんて構わなくなったりするんだろうか……。

そんな考えが頭に浮かんでしまって、気持ちまでもが重く沈んでいく。

少し距離を開けて隣に座った私に、恭ちゃんの視線が刺さる。
恭ちゃんはすぐに本題を持ち出した。

「つまり、桜田先生に俺たちの関係がバレて、それを教育委員会なりに報告するって脅されたって事だな?」

察しのいい恭ちゃんは、やっぱりさっきの私の言葉で全部を見通していた。
もう誤魔化す事は諦めて、素直に頷く。