「まぁいい。今日の放課後、保健室来い。事務長にはさっき会って許可とっといたから」
「え、でも……」
「俺の手伝いは事務長命令なんだろ?」
「そうだけど……」
歯切れ悪く答える私に「いいな」と念押しをした恭ちゃんはそのまま背中を向けてしまったから、断る事ができなかった。
だけど、本当に恭ちゃんの言うとおり事務長命令なだけに理由をつけて断る事も難しい。
事務長に事情を話せば分かってくれるかもしれないけれど……でも、心配はかけたくなかった。
桜田先生にこんな事を言われたからだなんて話せないし、第一こんなの自業自得だ。
私が悪いのに事務長を巻き込むのは間違ってる。
だから、もう呼び出されたりしないように恭ちゃんに好きじゃないって……嫌いって言わないと。
そうすれば恭ちゃんはきっともう仕事を手伝わさせたりしないハズだから。
元から大した手伝いなんてしてないし、恭ちゃんは自分で何でもできる人だから、私が手伝わなくたって何の問題もない。
保健委員だっているんだし、そういう生徒たちに手伝ってもらうべきなんだ、本当は。
私が出しゃばる事じゃない。



