私と恭ちゃんはもう成人しているし、そういう関係になったとしても問題はない。
けど、今までここでしていた事は、校内で交わす会話でも、する行為でもない。
本来なら厳しく罰せられるべき事だ。
桜田先生がどういう態度にでるのか……。条件でもつけて脅すつもりなのか。
歯をぎゅって食いしばって桜田先生の言葉を待った。
壁にかかっている秒針の音が、やけに大きく、そしてゆっくりに聞こえた。
「なぁに? そんな不安そうな顔して。バラさないで下さいとでも言い出すつもり?」
笑顔を浮かべたまま言う桜田先生に、心臓がドクドク嫌なリズムをはじき出す。
「そうよねぇ。マズイものね。同じ職場内で恋愛なんてね。
禁止だとかのルールはなくても、職場でキスするなんて、社会人としての自覚がなさすぎるものね。
校内で不純異性交遊なんて……。こんな噂が生徒に広がったりしたら、なんらかの処分が下るかしら」
「不純……?」
「親戚って、嘘でしょ。本当だかどうだか怪しいってずっと思ってたのよね。でもまさか的中するとは思わなかったからびっくりしちゃった。
本当は親戚なんかじゃなくて、男と女の関係なんでしょう?
それを嘘ついて親戚だなんてカモフラージュするなんて……うるさい保護者が黙ってないわよ」
「バラすつもりなんですか……?」



