「とにかく、気を付けておけ。酒勧めてんのも、酔わせて持ち帰る気かもしれないし。
つーか、飲みすぎだろ。おまえ、特に強いわけじゃないんだろ?」
「……だって、田口さんが勧めるし」
「しっかりしろよ。おまえだってもう大人なんだから。
まさか学校事務やってるとは思わなかったけど」
「私だって、恭ちゃんが先生やってるなんて思わなかった」

今日は、新しく赴任してきた先生を招いての歓迎会。
だからてっきり先生だと思ってたのに、、恭ちゃんは「いや、教師ではない」と否定した。

「え、じゃあなに? まさか事務とか?」
「いや、保健医」
「保健医?」
「そ。保健室の先生」

煙草を携帯灰皿にぎゅって押し付けて火を消した恭ちゃんが、私を横目で見てニって笑う。

「だから、何かあったらすぐ来いよ。
いたいのいたいの飛んでけってやってやるから」
「そんないい加減な手当しかしてくれないなら行かない」

不貞腐れた私を、恭ちゃんが笑う。