「いっ……恭ちゃん、痛いっ」
「ちょっと我慢しろ」
消毒液が頬の傷口へと染み込んでいくたびに、ピリっとした痛みが広がる。
こんなとこに傷作るなんて、本当に明日から恥ずかしいかも。
「次、肘な。……つーか、下のジャージに血が固まってんな。落としてやるからちょっと脱げ」
「……は?」
思わず聞き返すと、恭ちゃんは立ち上がって白衣を脱いで私に渡した。
「代わりにそれ着てろ。軽く洗ってドライヤーで乾かせばすぐだろ」
「……はい」
一瞬警戒した自分に恥ずかしくなりながら、恭ちゃんから白衣を受け取る。
その場で着替えるのも恥ずかしいから、ベッドに行ってカーテンを引く。
そして、白衣を羽織ってからジャージの下を脱いだ。
白衣がだいぶ長い。
恭ちゃんが着ても膝丈まである白衣を私が着たらどうなるか。
そんなの想像できてたつもりだったけど、これはちょっとあまりにマヌケだと思う。
肩からつま先まで、言葉通りすっぽり白衣状態だ。まるでおばけだ。
自分で見下ろしてみてもどうかと思う姿だったけれど、だからと言ってここに閉じ困っているわけにもいかず、ためらってからカーテンを開けた。
その音に振り向いた恭ちゃんが、私の姿を見るなり額の辺りを手で覆って笑い出す。



