違う病って、つまりそういう病って事なのかな。
今の子は冷めてるってよくテレビで言っているけれど、案外ロマンチストだなと感心する。

そして、同じ病を抱えている身として、恭ちゃんがどんな処置をするのかは結構興味深くて。
黙ってどうするのかと見ていると、柔らかく微笑んだ恭ちゃんが処方箋を出す。

「そう。ならよかった。
でも、ここは本当に身体の具合が悪い人が来るところだから、違う病なら他の男に見てもらう事を勧めるよ。
僕は専門外だ」

ハートマークが恭ちゃんにも見えたのか。
恭ちゃんは女子生徒の誘いをやんわりと、でも鋭く断った。

「……結構ガード固いんだね、そんな容姿してるくせに。つまんない」

女子生徒はぼそっと、本当につまらなそうに呟いてから、くるりと背中を向けて立ち上がり、私が立ち塞がっているドアへと向かってきた。

不機嫌そうな女子生徒に、身体を横にして前を開ける。
そんな私にチラっと目を向けてから、女子生徒はかかとを踏んづけた上履きでペタペタと廊下を歩いていった。