私の知っていた昔の恭ちゃんは、格好だって冴えなかったし、厚ぼったい髪型をしていて眼鏡だって太い黒縁の牛乳瓶の底みたいなやつだった。
こんな言い方したら本当に好きだったのかよってツッコまれそうだけど、ダサい優等生って言葉がぴったりで。
些細なきっかけでいじめられちゃいそうな、そんな見た目。
それでもそういう事がなかったのは、恭ちゃんがとても優しくて穏やかだったからだ。
変質者に襲われそうだった私を助けただけじゃなく、恭ちゃんは色々な人を助けるくらい優しくて、行動力のある人だった。
小学生の私からしたらその姿はまさにスーパーマンとかに見えていて、初恋の熱はずっと覚める事がなかった。
恭ちゃん以上にカッコいい人なんていないと思ったし、実は今でもその思いは持ったままだ。
それくらい、恭ちゃんが好きだった。
それに比べて、と隣に視線を移して今の恭ちゃんを観察してみる。
女子受けしそうな茶髪の無造作ヘアーに、黒縁は黒縁だけど細く洗練されたラインのオシャレ眼鏡。
Yシャツに細いネクタイ姿はかなり様になっていて……正直カッコいいと思う。



