甘い愛で縛りつけて



石油王でもないくせにハーレムでも作るのかって突っ込みたくなるくらいにモテる人なんて、芸能人以外で初めて見た。
しかもそれが好きな人だなんて最悪だ。

面白くなくてついつい、そんなにモテるならわざわざ私に構わなくてもいいのに……とか、そんなひねくれた事を考えてしまう。

『気付いてねーの? 俺がなんで実紅にキスしたのか……なんで他の男を見てたらイライラするのか。
考えれば分かるだろ』
『誰も真剣に想えなかったのは、ひとりに決めるのが無理だからじゃない
真剣に想える相手が見つけられなかっただけだ。
ここにきて……実紅に再会して、それに気づいた』

図書室でそんな事を言われてから、一週間とちょっと。
その言葉たちは私の頭の中に居座って、いつでもどこでも私を赤面させて惑わせた。

何回も何回もその言葉の意味を考えて……でも、未だにそのきちんとした答えが分からない。

恭ちゃんは確かにああ言ったけど。
それと私を好きだって事はイコールなのか、そうじゃないのか。

ずっと、そればかり考えてる。