もっと……もっと冷たくて。もっと恭ちゃんを蔑むような……。
軽蔑するような、哀れむような、そんな視線だった。
……そうだ。
そんな視線を浴びる恭ちゃんに話しかけると、恭ちゃんはびくっと肩を震わせて……私を確認すると柔らかい微笑みをくれた。
ほっとするような、そんな微笑みを。
だから、私は疑いもしないで決め付けてたんだ。
恭ちゃんがいつもみたいに、いつも以上に穏やかに見えたから、おばさんたちのあの視線は、恭ちゃんを褒めてるものだって信じてたんだ。
普通に考えたら絶対におかしいのに……。
恭ちゃんが笑ってたから、気付かなかった。
なんでもないみたいに、笑ってたから。
でも、なんで恭ちゃんはあんな目で見られてたんだろう。
優等生だったし、変な目で見られる理由なんてどこにもなかったハズなのに。
「おまえに追い回されて迷惑だって思った事なんかなかったけどな。
むしろ、救われてた」
頭の中で過去を問い詰めて顔をしかめていると、恭ちゃんがぼそっとそう言った。
顔を上げると、恭ちゃんはぼんやりと本棚を眺めていて……それから、瞳を伏せた。
見つめていた過去をシャットアウトするような恭ちゃんの仕草。
それに何か意味がある気がして、出かかっていた言葉を呑む。



