甘い愛で縛りつけて



「熱なんてないから。私、大体熱ないし」
「熱がなかったら死んでるだろ」
「そういう話じゃなくて! とにかく、違うし大丈夫だから放っておいて。もう戻るし」
「違うって何が……」

いっぱいいっぱいになってるところを恭ちゃんに追い詰められていた時、廊下を歩く足音が聞こえてきた。
近づいてくる音に恭ちゃんも気づいたのか、煙草を灰皿に押し付けて消した後、匂い消滅のためか窓を全開にする。

そして、恭ちゃんが椅子に座ったと同時に保健室のドアを叩くノックが聞こえた。

「朝宮先生? 実は気分が悪くて……。あら、河合さん?」

入ってきたのは、学校中のマドンナ、桜田先生だった。
だいぶ無理して高めた声に違和感を覚えていると、なんでここにいるのとでもいいたそうな目でじろっと見られた。

「桜田先生、体調が悪いんですか?」

私が聞いたのに、そうなんですぅと甘えた声を出した桜田先生は恭ちゃんの方を向いて答える。

「すみません。転任されてきてすぐにお世話になってしまって……」
「いえ。仕事ですから。気にしないでください」

私の存在を無視して話す桜田先生の声色が気持ち悪いというか、心地が悪い。