夕方までサイジたちと遊んで、俺達は帰路についた。


「お邪魔しました」

「う。うん。また来てね」


笑うサユちゃんはぎこちない。
さっき手を握ったことでどうも警戒されてしまっているらしい。


「サユちゃん、また明日」

「ま、またね」


うつむく彼女を見てると、どうしようもなく胸が詰まる。

何やってんだ、俺。
彼女を守りたかったんじゃないのか。怯えさせてちゃ意味が無いだろう。


「まあ頑張ってねぇ」


肩を落として歩き出す俺の背中を、ルイが憐れむように叩いてウンウン頷いた。


「なんかその言い方すっげぇムカつくんだけど」


思わず怒りを顕にすると、ルイは平気な顔で笑い出す。


「お兄ちゃん、女の子には優しくしないとだめだよう」

「してんだろ」

「今の顔怖いよ? サユ姉ちゃんだってビビるよねー」


そう言って、前を歩くイッサのところまで駆け出すルイ。

だからお前は小三のちびっ子のくせにどうしてそう鋭いんだよ。
取り残された俺は、舌打ちを打つ。


「じゃあ、どうすりゃいいんだよ」


彼女に男として見てもらうには、どうすりゃいいんだ。
ライバルはてんこ盛りなのに、俺はスタート地点にさえ立てやしない。