ガラリと窓の開く音がする。
その後、ビリビリという乾いた音が続く。
不審に思って顔をあげると、なんとか颯が春色の鶴を小さく破いて窓の外に捨てている。
綺麗な薄紙はもう鶴の形を留めず、ただの綺麗な紙吹雪となって宙を舞う。
颯は机の上にある全ての鶴を一つ残らず紙吹雪に変えてしまった。
「……なにしてるの、アンタ」
彼は飄々とした顔を崩さない。私の潤んだ目にも気づいているだろうにそれについては何も触れずに不敵に笑った。
「よくわかんねーけど。綺麗だけど好きじゃねんだろ? これ。だから捨てた」
「別に、嫌いなわけじゃ」
「嘘だよ。そんな顔して」
颯は一呼吸置くと、手をパンパンと払い空っぽになった掌を私に見せて笑った。
「アンタはポーカーフェイスを気取ってるけど、顔には出やすいよ」
私は彼の掌を吸い寄せられるように見ていた。
大きな節ばった手が、やがて私に近づいてくる。
「泣きそうな顔よりは怒った顔の方がいいよ。……無理にサトルや先輩と仲良くすること無いんじゃない?」
私は一体、どんな顔をして二人と話していたというのだろう。
コイツは一体いつ私の感情に気づいたんだろう。
悔しくてたまらなくて八つ当たり気味に彼の脛にケリを入れる。
「うおっ、いってぇ」
「アンタは余計なことばっかり」
「余計かよ」
屈んで脛を抑えながら、私を見上げる顔からは心配そうな色がにじみ出ていて。
アンタも軽そうな見かけにしては結構優しいところもあるのね、なんて上から思ってみる。
「……でも、嫌ではないわ」
言葉にしたら口元がようやく笑えた。
颯もニヤリと笑うと私の腕を引っ張り、反動で私は彼の腕の中にすっぽり入る。



