「ああ、サトル君の友達の」
「そうそう、陸上部の。よろしくね。颯って呼んでいいよ」
軽いな。さすがモテ男。
「じゃあ、颯くん。どうして明菜と一緒にいるの?」
「んー、部活終わりに彼女を見つけたから? 珠子ちゃん知らない? 俺、彼女狙ってるの」
「あー、追っかけっこはしてるなぁって思ってた」
コイツが追いかけてくるのは主に一人の時だから、珠子はちゃんと認識していなかったらしい。
それもどうなの、ぼけてんじゃないの。
「で、なにしてんのさ」
「千羽鶴つくってるんだよう」
珠子と颯が仲良く話しているうちに、私は裁縫道具を取り出した。
最近家庭科で使っているから学校に置きっぱなしにしていてよかった。
珠子が作ったそれを、一つ一つ通して繋いでいく。
数えてみると百個近く出来上がっていて、私は予想以上の珠子のがんばりに驚いた。
「ほら、これだけできてれば十分よ」
「でも千羽鶴って千羽なきゃダメなんでしょ?」
「和晃は単純だから、珠子が作ったものなら百羽でも効くわ。後で持っていってあげなさいよ」
「うん」
嬉しそうに私を見返す珠子を見ていると、自然にこっちも頬が緩む。やっぱり珠子は笑っているとカワイイ。
「じゃあ、あたし早速行ってくる! 先に帰るね、明菜?」
「え? ちょっと待ちなさいよ。同じ方向でしょ」
「今すぐ渡したいもーん!」
珠子は一気にミルクセーキを飲み、鞄と出来上がった鶴の束を持って興奮気味に駆けていく。
ちょっと待ってよ。
アンタがイノシシみたいに突進するタチなのは知っているけど、よりによってコイツがいるときにそれは無いんじゃない?



