例えばここに君がいて



「……よくあの二人の間に入って帰ろうとか思うわね」

「恋人だから二人にしなきゃとかいう気遣いは余計なお節介って言わねぇ? 二人でいたきゃ二人で時間作るだろ。新見だって、よくカップルの中に混じってんじゃん」

「珠子と和晃なら昔からの友達だもの」


ふてたように言い返しつつも、確かに自分もそういう考えの持ち主だ。
恋人同士がグループの中にいるからといって、二人だけをハブにするようなことは好きじゃない。
なのに、中津川くんと葉山先輩に対してだけ、私はおかしくなる。


「まあいいわ。じゃあね」


深く考えるのが嫌で、歩き出した。すると男は、そのまま隣をついてくる。


「……なによ」

「暇になったから、一緒に帰ろうぜ?」

「だめよ。友達を待たせてるの」

「じゃあ友達も一緒に。俺も友達じゃん?」


人類みな兄弟みたいな考えの人間にとっては、友達の友達は友達になるらしい。
じゃあなにかよ、中津川くんのクラスメートはお前にとってもクラスメートか。違うだろ! とか思う。
でも。


「……珠子が良いって言ったらね。それに、時間かかるよ?」

「あの小さい子か」

「今、鶴づくりに夢中なのよ」


会話をしている内に教室についた。
珠子は悪戦苦闘を繰り返していたらしく、私の顔を涙目で見上げた。


「も、手が痛い」

「でしょうね。ほら、休憩しなさい」


小さな鶴たちをずらして、紙パックのミルクセーキを置く。


「うわ、スッゲ量」


後ろから颯が覗きこむようにして見る。珠子はキョトンと彼を見返した。