例えばここに君がいて



 放課後、和晃が帰っていったのを確認してから、珠子がおもむろに折り紙を取り出す。


「じゃーん。明菜も持ってきてくれた?」

「いっぱい持ってきたよ。母さんがこれもあげるって」

「うわー。綺麗な紙ー! 素敵だね」


持ってきた薄折り紙に珠子は目を丸くする。


「で、なんで折り紙が必要だったのよ」


珠子は、まんまるの瞳を更にくりくりとさせて笑った。


「へへぇ。千羽鶴つくろうと思って」

「千羽鶴?」

「そう。ほら、良く入院した人とかに作ってあげるじゃない。治るように祈って」

「まあね」


でも、千個も鶴を折るのは結構骨が折れるけど、それは理解してる?


「これを和晃にあげたら喜ぶかなって。あたし、何も出来ないし。隠れて作って驚かせようと思って」

「……私は手伝えばいいわけ?」

「ううん。あたし、自分で頑張るよー」


そう言って、珠子はそのまま創りだそうとするけど、十五センチ四方の折り鶴で千羽鶴作ったらでかすぎるわよ。


「珠子待って。それじゃあデカすぎるし紙も足りないわ。一枚を四つに切り分けて作りなさい。そこは私がやってあげるから」

「あ、ありがとう―! 明菜」


そうして、私が小さく切った紙を珠子はせっせと折っていく。

でも珠子は元来あまり器用ではない。なかなか鶴の顔を作れなくて四苦八苦しているのを見ていると思わず手を出してやりたくなる。

でも珠子が折角自分でって言ってるから、ひたすらにそれを堪えた。