例えばここに君がいて



 その夜、突然送られてきた和晃からのメールに、私の目は点になる。

【骨折した。明日から暫く親の車で通うから】

和晃とは別に一緒に通学する約束をしているわけではない。珠子と私が約束しているのにアイツが勝手についてきているだけだ。それでもご丁寧に私にまでメールをくれるのは幼馴染ゆえか。

【バスケでどうやったら骨折するのよ】

【鉄のボールケースに突っ込んだ】

アホとしか言いようが無いな。私は【お大事に】とだけ返事をしてため息をつく。
そしてそのすぐ後に珠子から電話が入る。

『聞いた? 明菜。和晃が骨折だって』

「聞いたわ。アホよね。もともとそんなに運動神経良くないのに張り切るからよ」

『だよねー、あはは』

珠子は悪気なく笑う。
自分が和晃をこき下ろしている分にはなんとも思わないけど、珠子のこの台詞にはちょっとイラつく。
自然に口調がキツくなるのがわかったけど、構うもんか。

「でも、アンタにいいとこ見せたくて和晃はバスケ始めたんでしょ」

『え? まあうん。そうかな』

「アンタ、恭一さんが骨折したとしてもそんな風に笑う?」

電話の向こうで、珠子が息を飲むのが分かった。
言い過ぎたか、と思いつつ反省はしない。