例えばここに君がいて



「新見さん。……サトルくんが好きなの?」


ぽつり、呟かれるサユちゃんの声は震えている。


「そうです。だから先輩にそうやってふらふらされてるのはとっても迷惑」

「なんだよ、お前サトルが好きだったのかよ。いいじゃん、似合うじゃん」


野次り出すのは夏目。俺は背中をどんと叩かれ、新見の方へと押し出される。


「ちょっと待てよ。俺の意思を無視して話進めるなよ」

「無視はしてないわ。アンタも返事もらって。私も返事もらえばいい。これで一気に終了でしょ」

「そんな事務的にいくわけねーだろ!」


こんな皆が見ている前で振られたら立ち直れねーよ。

……だけど、それは新見も同じはずで。
なのに今こんなことをしでかすのは、コイツなりに我慢の限界点を超えたってことなのだろうか。


「……サトルくん」


サユちゃんが、困った顔で俺を見つめる。

とりあえず、外に声が漏れ聞こえているのが心配なので窓を閉める。

すると途端に空気の流れが無くなり、空気自体が重たくなった感覚がする。
俺の立ち位置が変わったことで、四人が正方形を描くような配置になった。


「私はこれでもしばらく待ってたの。わざわざフラれるの分かってて告白するほど馬鹿じゃないのよ。なのに、あなたがはっきりしないから」


そう言って、新見はサユちゃんを指さす。指先が小刻みに震えているのを見て、心臓がギクリとした。
ぶち切れたように言われた朝の告白、気の強い彼女の潤んだ涙目。
追い詰めたのは俺だったのだろうか。