例えばここに君がいて


冷たく言い放たれた新見の言葉の切っ先は鋭い。
サユちゃんは傷ついたような顔を一瞬だけしたが、大きく呼吸をした後いつもの穏やかな表情を作った。


「……新見さん。私、責められるようなことした?」


サユちゃんの言葉に、新見は夏目の方をじろりと見る。


「あのバカのこと、振ったんじゃないんですか。なのになんであんなに普通に話すんですか」

「なん……で、新見さんが知ってるの?」


ごめん。それは俺が教えたからだ。
サユちゃんが責めるような目つきで俺を見るので、俺は視線を逸らした。


「止めろよ新見。サユちゃん先輩は、友達でいたいって言ったんだ。だから今まで通りでいいじゃねぇか」


身を乗り出すのは夏目。


「それで、まだ脈があるって期待してんでしょ、アンタは」


新見に睨まれて、図星を突かれたのか夏目は押し黙った。


「仲良く友達でいましょ、なんて私はちっとも優しくないと思う。先輩は皆にいい顔をしてどうしたいの? 夏目のことはどうでもいいですが、中津川くんのことどうするるもりですか? いらないならきっぱり振ってください」


こら、ちょっと待て。
俺も聞いてない返事をなんでお前が要求する。


「なんでお前が聞くんだよ!」

「こっちも本気だからよ」


キッと睨まれて、俺は息を飲んだ。


「脈が無いなら、今その気無くてもこっちに来てって。……思うくらいには本気だからよ」

「新見……」


いつも強気に言い放つ新見の、一瞬の逡巡。珍しい弱気に驚きを隠せない。