「次ってなんだよ」

「なぁに、中津川くんヤキモチ?」

「そんなんじゃねぇよ。ただ、そうやってすぐ勘ぐるの止めろよ。新見は男友達一杯いるだろ」

「男好きなだけじゃないの」


クスクス、小さな笑い声にムカつく。
何なんだよ、こいつ。いつも陰でコソコソと、粘着質の糸を張って引っかかってくるのを待っている。まるで蜘蛛女だ。


「下手な男より、新見は男前だよ。お前の敵う相手じゃねぇよ」

「なによ。肩持っちゃって。やっぱりあの噂本当なの? 新見さんと付き合ってるのって」


それはお前が流してるんじゃねーのか。しらばっくれんなよ。


「付き合ってない。でも友達だ。俺はあいつ、いいヤツだと思ってる」

「おっ、サトル分かってんじゃん」


和晃がノリノリで会話に入ってくる。


「そうなんだよ。キツイけどさ、すげー友達思いなところがあるんだぜ。だからこそ俺は早くあいつに幸せになって欲しいわけ」

「そう……だな」


朝の告白が頭に浮かぶ。
確かに新見はいいヤツだ。嫌いじゃない。むしろたまに格好いいとさえ思う。

だけど、あまりにも母さんやルイに似すぎていて、恋愛対象としては見れないってのが本音だ。


「な、サトル。明菜可愛いよな?」

「あ、ああ?」


ていうか。なんでこいつこんなに必死なわけ?
新見が俺への気持ちを相談したとか?