「告白してないの? 葉山先輩に」

「……した」


というか、してしまったというか。


「じゃあなんで落ち込んでるの」

「彼女を困らせたから」

「振られたの?」


イヤになるほどズケズケ聞いてくるな。
でも、俺も不思議と素直に返してしまっているが。


「振られる前に逃げてしまった」

「……馬鹿?」


はーっと声に出るほどの重々しい溜息に、ええそう馬鹿ですよ、と自分でも納得する。
落ち込んだまま、沈黙して並んで歩くこと数分。

新見が突然俺の腕を取り、脇路地へと引っ張り込んだ。


「な、なんだ?」

「アンタが馬鹿だから悪いのよ」

「なんだよ、いきなり喧嘩売る気かよ」


新見は、唇を噛み締めながら俺を睨む。
そんなに怒らせるようなことしてねぇだろ?

脇路地に入ったとはいえ、すぐ近くを同じ学校の生徒が歩いている訳で、今のこの状況は誤解されそうで嫌なのだが、眼の前の女が怖すぎてなかなか言い出せない。


「私、ちゃんと協力してあげたじゃん。だから、今から起こることはアンタのせいなんだからね。それを先ず頭に入れておいて」

「は?」


何を言ってるんだ?
訳が分からず食い入るようにに意味を見ると、ネクタイを掴まれてぐいと引っ張られる。


「……っ」