「そう言えばさ、茜。来週の土曜、朝から出掛けるから、ちゃんと準備しとけよ」

「んー、良いけどどこ行くの?」





来週の土曜、それは私の20歳の誕生日。

その日の為に浩也が何かを計画していたのは前から気付いていた。


相変わらず隠し事が苦手だな、と思いつつ本人はバレてないと思ってるみたいだから気付かないフリをしてきた。



そんな私の優しさのせいなのか、それに気付かない浩也は記念日にとにかくサプライズをやりたがる。

驚くフリがかなり上手くなった私は、そろそろ女優でもいけるんじゃないかって思ったりもする程。




「それは秘密だよ、ひーみーつ」

「浩也のケチ」





浩也は優しくて、大切にしてくれて、一緒にいて笑いが絶えない。


それなのに、時々、本当に時々。

茜って呼ばれる度に、金に近い髪が、今にも泣きそうで、悲しいほど綺麗だった律の顔が、頭を過るの。





あのね、律。

今更、会いたいなんて、そんなバカなことを思ってるわけじゃないの。