「お前と、一緒」

「……はい?」




千堂くんから予想もしない答えが返ってきて間抜けな声が出た。



いや、どんな答えが返ってきてもこのリアクションだったかもしれない。

だって全く予想つかなかったもん。



というか、この質問にまともに返事してくれると思ってなかったからビックリした。




でも、私と一緒って……。


意味が分からずポカーンとする私に千堂くんは、人差し指でスッと指差した。




その指は、私の視線は。

窓を越え、向かい側の校舎へと向かった。





「……っ!?」





思わず返す言葉を失った。

ーーだって、その先にあったのは私がいつも見つめている、数学準備室だったから。


慌てて視線を千堂くんに戻すけど、彼は俯いていて、長めの前髪が邪魔をして表情が伺えない。




「俺もここから、ある人を見てるんだ」





そんな彼からポツリと呟かれた言葉。


その声は聞いたことのないほど優しくて、愛おしそうで……どこか、寂しそうだと思った。