すごくすごく、おいしかった。

野菜とお菓子の組み合わせなんか、まずいに決まってるって心の中で思っていたから、それは予想外で。

ただただ目を丸くして、「おいしい……」と呟いたあたしに、


「にんじん食べられたじゃんって、嬉しそうに優衣が言ってくれたの」

その瞬間、ぎゅうっと胸の奥が締め付けられた。

色んな感情が混ざり合いながら、あたしはただ「うん」と頷くのがやっとで。

……その時、気付いてしまったの。


「あたしね、優衣のことが嫌いなんじゃなくて、自分のことが嫌いだった」

優衣と比べて何の取り柄もない、バカでドジな自分。

優衣を避けることによって、自分自身に対する嫌悪感から逃げようとしていた。

だけど……。


「……何が言いたいの?」

黙って話を聞いていた中村くんが、口を開く。

「あ、あたしなんかのしょーもない理由とはね、違うと思うんだけど」

一度呼吸を整えてから、あたしは、


「中村くんも、あたしと一緒じゃない……?」


彼の目を真っすぐ見て、言った。