急遽変更になった日本でのファンミーティングも無事最終日を迎えた今日、
早めに産休に入っていたマナカが昨日と今日、舞台袖と楽屋から
オレたちを見守ってくれている。


ミニライブが終わると、香坂マネージャーと一緒に
タオルとスポーツドリンクを手渡しにくる。


ステージは、コードやいろんなものがあり、危ないから
そこまでしなくてもいい、と言っても
体を動かさないと体重が増えたら困る!と
言ってきかない。


マナカらしいといえば、マナカらしいけど…。


オレがスポーツドリンクを飲み終えると
額の汗をタオルで拭ってくれる。


「潤、あとは、握手会だけだね。頑張って!」


オレの乱れた髪を、両手で直し微笑む。


「あぁ、今日が終われば、ゆっくりできるからな!」


そうさ! やっと!やっと!
マナカとゆっくり一緒にいられる時間がくる!!

今すぐにでも抱きしめてキスしたいのを
グッと我慢する。


汗をかいたTシャツを今回のミーティング用のTシャツにすばやく着替えると
あと10分ほどで握手会の準備が整う、とスタッフの声がした。


「潤、私、楽屋に忘れ物しちゃったから、ちょっと行ってくるね」


「は?! なに忘れたの?あとにしろよ」


「ううん、すぐだから」


少し、心配だったけど、マナカも言い出したら利かないことを知ってるから


「階段とか、気をつけろよ、待ってるからな」


しぶしぶ、舞台袖を離れるマナカの背中を見送った。