少しの休憩が終わって、撮影の再開。
雑誌の発売が、1カ月以上先の寒い時期になるためか
今度は、冬物ばかりを着せらせた。


それでもって…
いつからいたのか?
女性モデルとの絡みのポーズを要求された…


こ、こんなの、き、聞いてねぇ…


「立川くん、なんか、顔固いよ、さっきのオレ様みたいな表情してー」


カメラマンがレンズを覗きながら言う。
そんなこと、言ったってよ…

オレが椅子に座ってる状態で、後ろから、腕を肩に回されて
相手の顔がオレの耳あたりにあるんだぜ?

こんな状態、マナカとしかしねぇっつーのっ
てかっ! マナカとしかしたくねぇだろっ!

ダメだ…うまく表情つくれねぇ


思うようなオレの表情を撮れないカメラマンが、レズから眼を離した

そして


「んじゃ、先に君塚くんに交代しようか」


椅子に座って、メイクさんの手直しをされていた君塚を呼んだ


う…、君塚と交代って…なんか、すげ、凹むぞ…


モデルがオレから離れて、オレも立ち上がり、その場を離れた


すれ違い様、君塚が、鼻で笑った
くっそ…なんか、めっちゃムカつく…
でも、オレが上手くできなかったのは、事実…
スタジオの端っこで、撮影を見ていたマナカの元へ行く。


「マナカ、ちょっといい?」


「うん、どうしたの?」


不思議そうな顔でオレを見たけど、マナカの手を引いてスタジオを出た。


廊下に出て、誰もいないのを確認して、マナカをギュっと抱きしめた
なにも言わないけれど、マナカもオレの背中に手を回して
抱きしめ返す


「潤、お仕事だから私は大丈夫だよ、潤がモデルさんと絡んでもちゃんと目を開けてみていられるよ
だから、あとちょっと、頑張って」


目の前でオレがモデルと絡むのなんて、正直見たくはないだろうに
オレの胸元で、小さな声だけどオレを理解して励ましてくれる


やっぱり、オレのマナカだ また、めっちゃ惚れる!


「うん、サンキュ、愛してる…マナカ」


ホントにオレ、マナカなしじゃ、生きてけねぇな…