『おかえり』と人に言われるのは……、いつぶりだっただろう。 「………疲れた…、寝たい。」 自宅のリビング。 大きなソファーの上に…、俯せになって寝転ぶ。 仕事帰りには、足の浮腫と大きな疲労で、 家で怠惰する喜びを得た私、稲守紗羽(イナモリサワ)……。 29歳。 「…だらだらしてないで手伝いなさいよ、すぐご飯にするから。」 「……はあ~い。」 母の小言さえ…有り難い。