透が、私の故郷を訪れるのは…初めてだった。 『紗羽が生まれ育った街を…知りたい。』 透のそんな提案に、ノーとは言えず…。 彼に言わなければならないと誓った二文字が… 重く、胸にのし掛かる。 駅で… 透が乗る新幹線を待った。 こっちに来てから電車に乗る機会などなくて… ここにやって来たのは、帰郷したその日以来だ。 何となく…そわそわと、落ち着かない。 早瀬と別れたのも… この場所だったから。