「………。見事に…晴れたな。」


「……だね。」


運動会を無事終えて…、


片付け作業。



私の隣りに……早瀬。




雲が去った、明るい空を…見上げている。






「……ねえ、いつから見てたの?てっきり帰ったものだと…。」



「午後からサッカー部がここで部活するから…帰るのも面倒だし、学校にいた。」


「……あれ、もしかして…顧問?」



「うん。あれ、言わなかったっけ。」


「聞いてないよ。ちなみに体育の先生だってことも…早瀬からは、直接聞いてない。」


「………。そう?……俺は知ってるよ?紗羽ちゃんが傘音頭してたのも。子供より張り切っちゃって、可愛いのなんのって。」 





「………そんなに前から見てたの?なんか…フェアじゃないな…。」



「なんだそれ~?」



早瀬は、私のことを……よく知っている。

だけど、私は……まだ、あまりにも…知らなすぎる。



「ん?…待てよ。それって、ちょっと悔しいの?」



「え。」


「少しは……知ってみたくなった?」


「………。……ちょ…、何、急に。」


「拗ねんなって。」


「拗ねてないっ。」


「………。だって、また…眉間にシワ。」



早瀬の人指し指が……

ちょん、と私の眉間に触れる。











「………あーあ、いい運動会だったなあ…!」

太陽を背にした早瀬は…

悪戯っ子みたいに笑う。





それは……やっぱり私には眩しくて、目を背けそうになったけど。



「……だね!」


一緒に、笑い飛ばして…


向き合ってみたんだ。





「………。今日一番の、いー顔。……他に見せんなよー?」



痛くない拳が、頭を…掠めた。