ミーンミンミン…… ジーワ… ジーワ…… あのときも…蝉の声がしていた。 遠い…夏の日の…思い出。 「………。本当に…、なっちゃったじゃん。保育士じゃなくて…幼稚園教諭だけど。」 覚えていたわけでは……なかった。 だけど、記憶の断片が……何処かに隠れて、張り付いていたのか…? 子供達の手をひき、歩く私は…… 今君に、どう映って見えているのだろう。 『可愛い、エプロン姿。やっぱ似合うね。』 「………。もしかして、早瀬……、覚えてた…?」