*華月譚*月ノ章 姫君と盗賊の恋物語

「………お前さん、すごいなぁ」




しみじみとした声音で群雲が言うので、汀が眉を上げた。





「え? 何が?」





すると群雲は、ちらりと灯の顔を見て言う。





「ーーーこの灯と、そんな風に普通に話せるなんて………」




「どういうこと?」





意味が分からず、汀は首を傾げた。




群雲は小さく頷き、話し始めた。







「灯はな、ものすごい人見知りなんだ。



だから、慣れない人とは全く話さない。


新しく仲間に入った奴と普通に喋れるようになるのは、だいたい一年以上かかる」






「へぇ………」






「………それなのにお前さんとは、たったの十日やそこら共にいただけで、普通に話してるもんなぁ。



不思議だよ、まったく。


いったいどうやって灯を手なずけたんだ、お前さんは」







「……………俺を犬ころのように言うな、群雲」






灯はむすっとして群雲を睨んだ。