*華月譚*月ノ章 姫君と盗賊の恋物語

かすかに唇を尖らせる藤波を見てくすくすと笑う、鈴のような声が響いた。





白縫党の皆の視線がそちらに集まる。





「…………六の君か」





夜闇の中でも分かる、薄花色に煌めく瞳を見て、群雲が呟いた。





皆に見られていることに気づいた汀が、はっと顔を上げる。






「あ………初めまして、皆さん。


あなた方が蘇芳丸のお友達ね?」






それを聞いた群雲が眉を顰める。





「…………ん? スオウマロ?」





「えぇ、蘇芳丸。


私が飼っていた赤毛の子犬に似ているから、同じ名前をつけたのよ」





「………余計な話はせんでいい!!」






あっけらかんと笑って言う汀の頬を、灯は思い切りつまんだ。





しかしその隣で、群雲が首を捻る。






「赤毛の子犬………?」