汀は青丹丸を膝に乗せ、ゆったりと微笑みながらその丸い背中を撫でている。







その時、青丹丸がぴくりと耳を動かし、さっと顔を上げた。




そして、下ろされた御簾の向こう、庭の方に注意を向ける。







「ーーーん? 誰か来るの?」







汀は首を傾げて、青丹丸を抱いて立ち上がった。






御簾の隙間から外を覗いていると。





一人の少女がやって来た。








「………まぁ、その顔は………。



千瀬(チセ)………千瀬なの?」








「ーーーご無沙汰をいたしております、………汀さま」