脇の小道から姿を現したのは、藤波だった。






「…………馬鹿みたいにぼんやりしてた期間は、終わったみたいだね? 灯」






足を止めた灯に、皮肉っぽい笑みを浮かべた藤波が近づいてきた。





「………藤波。どうしたんだ、こんな時間に」




「その言葉、そのまま返すよ」




「…………」




「こんな時間に、こんな所で、何してるわけ? どっか出かけるの?」





にやりと笑っている藤波の表情を見て、灯は溜め息をもらした。





「…………分かってるんだろう」




「まぁね」




「食えない奴だな………」