*華月譚*月ノ章 姫君と盗賊の恋物語

藤波の驚きを隠しきれない声音に、灯は苦笑した。





「………あぁ、この前の仕事のときに、ちょっと、な………」





灯がわけ知り顔に呟いたが、藤波はまだもの言いたげな表情をしている。






「………じゃ、相手も、知ってるわけ?」




「…………え?」





今度は灯が意外そうな表情になる。





「相手、って………」




「六の君のケッコン相手だよ」




「…………いや、それは、知らない」






灯は小さく首を横に振った。




すると藤波が、唇をきゅっと引き結んだ。





「………俺、聞いちゃったんだ」




「…………え」




「六の君が………誰に輿入れするのか」




「……………」