*華月譚*月ノ章 姫君と盗賊の恋物語

「あぁ、ちょっと、考え事………」





そう言って灯がまた視線を落としたので、二人もつられたように下を見る。





そこには、蟻の行列ができていた。






「………蟻を見てたの?」






楪葉が不思議そうに訊ねると。






「………え? 蟻?


ーーーあぁ、ほんとだ………」







灯は初めて気がついたというように、蟻の行列を目で追った。






藤波と楪葉は、首を傾げて顔を見合わせた。






そのまま灯が動かないので、藤波が口を開く。





「………ねぇ、灯。


ちょっと、話があるんだけど」






「…………は?


あ、あぁ、分かった………」







灯はそう言って、やはりぼんやりとした表情で村の方へと歩き出す。




藤波と楪葉も、あわてて後を追った。