*華月譚*月ノ章 姫君と盗賊の恋物語

濃い紺色の夜の帳が、少しずつ上がっていく。





東の空は、じわじわと明るみを増していった。







細くたなびく雲が、橙や紫、薄い藍など、様々な色彩を帯びて煌めいている。






刻々と色合いを変えていく朝焼けの空に、汀は目を奪われる。







「………もうじき、夜が明けるわ」






「……………」







灯も黙って、東の空を見つめていた。







「………朝はいつだって美しいわね」






「……………」






「この月も、もうすぐ白く薄くなって、輝きを失うわね」






「……………」






「皆は、有明の月は力を失っているだなんて言うけれど」






「……………」






「でも私、白い月も好きよ。

金色(こんじき)に輝く月もきれいだけど、白く透き通る月もとても清らかだもの」







汀はにっこりと笑った。