別の店舗に異動となる主任のための送迎会は居酒屋を貸し切って行われた。


他の大学生バイトは用事があってこれなかったり、終電があるからと帰ってしまって、残っているのは大学近くに下宿している私と李 暁明だけ。


正社員の大人たちは大人たちだけで盛り上がっている。


普段なら話したことない人には自分から話しかけられないほどの人見知りだけど、この日は自分からガンガン話しかけてしまっていた。


なぜかと言うと、酔っていたから。



「もう中国語全然分からないよー、難しい!
単位落とすかも!」


「中国語の何がワカラナイ?
オシエテアゲルヨ」


「全部!何が分からないかが分からない!」


自分が何を話したのかも分からないけど、李 暁明がニコニコしながら聞いてくれていたのは記憶に残っている。


背が高くて、全体的に素朴で優しそうな印象の彼は、笑うと可愛かった。