「ケンちゃんはどうでもいいよ!

それより!やっぱり美月は印鑑の中国人のこと好きだよね?
好きじゃなきゃ、あんなに名前呼ばないもん」



昨日のことは覚えてない、でもそう言われると断片的に残った記憶が、暁明に会いたいと思ったような、気が......しないでもない。


ただ酔ってただけだと他人からは言われるかもしれないけど、私の場合は酔っていたとしてもどうでもいい人の名前は呼ばない。

彼はきっと、自分が一番弱った時に、会いたい人。


何より酔いが覚めた今でも一番に会いたいと思うのは暁明だ。

元カレでも、他の誰でもなく。

そっか、私......。



「うん、好きなのかも」


「でしょ?美月は彼の話してる時が一番楽しそうだったから、絶対そうだと思った」



かおりは私よりも早く、私の気持ちに気づいてたんだね。